アジラプレス

私たちは人工知能を活用して、社会や人に寄り添い役に立つ「優しいAI」を開発しています

AIの普及に求められる人材と必要な能力とは?

 掲題の質問、割とよく聞かれるのでまとめてみました。

普通のプログラマーとAIエンジニアは何が違うの?

 プログラマーはコードを書くのが仕事ですが、データのモデリングのコード量は少ないです(数十行〜百・二百ステップ程度)。

 ちなみに弊社の場合はほとんどPythonで書いています。

 トレーニングフェーズでは、どのフレームワークを使うか、大量データをいかにうまくアノテーション*1するか、やりたいことに対してCPU/GPUとフレームワークの相性を調べたり、チューニングをどう行うか、というところがポイントになります。その上で、いい分析環境つまり稼働率の高い環境を作り、PDCAをいかに速く回せるかが鍵になります。

 一方、実行フェーズではモデルをロードし、いかに速く、そして高い精度で結果を返せるか、に重きが置かれます。

 つまり、プログラムが書ける = AIを作ることができる、とはなりません。

(下記参照)

普通のプログラマーを雇うのではだめなのだろうか? それではだめだ。機械学習技術を構築するのは、標準的なソフトウェアエンジニアリングとはまったく異なり、コーディングすることよりもむしろ、膨大な量のデータから結果をうまく引き出すことが必要だからだ。

出典:いま、世界の大企業は「AI人材」を食い尽くそうとしている|WIRED.jp  

 AIモデリングはプログラミングというよりは、データサイエンスの部類ですね。

具体的にどんなスキルが必要?

人工知能(AI)の活用が一般化する時代に求められる能力として、特に重要だと考えるものは何かを有識者に対して尋ねたところ、「業務遂行能力」や「基礎的素養」よりも、「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」や「企画発想力や創造性」を挙げる人が多かった。

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出典:総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)の普及に求められる人材と必要な能力   

 まさに総務省の資料にある有識者コメントの通りです。 

 具体的な話をしますと、モデリングプロセスは不確定要素が多い(大抵思い通りにいかない)ため、優秀なリーダーのコントロール下で数人〜数十人の平凡な技術者が組織だって作業を行う従来のシステム開発のスタイルよりは、少数精鋭の技術者がそれぞれのテーマを持ち、主体的に実施したほうが圧倒的に効率が良いと弊社では考えています。

 さらに、重要スキルだと考えているのが「主体的な企画推進力」です。

 「言われたことをきちんとやる」というのは、ビジネスマンとして最低限必要なスキルですが、データモデリングについては、もうワンステージ上のスキルである「自分で調べ、考え、動く」が求められます。

 だからこそ、精神的に成熟したチーム、お互いをリスペクトし認め合える技術的な組織が必要だと常々考えています。

我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。
─ 荒巻大輔(内務省公安九課)

この先どうなるか?

人工知能研究の環境は厳しい。日本では研究を志す学生が少なく、人が育っていない。(東京大学大学院新領域創成科学研究所 杉山将教授)

 AI人材は突然沸いて出てきません。

 ITエンジニア(プログラマーやシステムエンジニア)からのコンバートも数ヶ月というレベルでは難しいと思います。

 一方で、世界的に数万人規模で不足しており(東京大学の松尾豊准教曰く)、国際企業がこぞって世界中のAI人材の確保に乗り出しています。

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出典:世界時価総額ランキング2017 ― World Stock Market Capitalization Ranking 2017  

 上記にある通り、世界の時価総額ランキング上位はIT企業が占めており、その潤沢な資金を元にAI人材を集めています(ちなみにこの時点で日本最上位はトヨタで46位です)。

まさに「War for talent  」。

 一方、日本においては短期的に需要は満たせないと思います。かなり大きな課題だと思います。

 ただ、数年のうちに下記のような「AIがAIを訓練するようなサービス」が出てくれば、誰でも簡単に自分のAIを持つことができるようになると思います。

 まあそのときは、アレですが。
wired.jp

 プログラミングもいずれはAIが行うことになるので、残された人間の仕事はやはり「主体的な企画推進力」、つまり一言で置き換えると「こんなことやってみたい!」「できたら面白いだろうな!」という知的好奇心や情熱、もっと端的にいうと「やる気」ひとつなんじゃないのかなと最後の最後で体育会系みたいなことを言って締めたいと思います。

 いろいろご想像、ご検討頂けますと幸いです。

 以上、休日の昼下がりのハノイからお伝えしました。

 

(2017年12月1日:加筆修正)

 


Asilla, Inc. believe change should be expected, embraced and incorporated continuously through development and innovation, because good software is never finished.

追伸

 ハノイの韓国系シアターにDCエクステンデッド・ユニバース・シリーズの最新作『ワンダー・ウーマン』を観に行ったら本物がいました。

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 ASEANは大人の事情で映画の公開が早く*2、人口のボリュームゾーンである二十代後半〜三十代前半の層向けのエンタメにしっかり投資しているので、日本社会に閉塞感を感じておられる若い皆さんは一度体験してみてはいかがでしょう、このアナザースカイを・・・。

 ちなみに映画「Wonder Woman」の感想もいろいろ書きたいですが、とりあえず「すごくいい」と言いたいです。

*1:高い精度が出せるようにカテゴライズ、タギング、アーギュメンテーションする

*2:ほとんど米国と同時公開らしい。日本は8月下旬公開予定。